« 知っている事と、知っている事を表現できる事は別の事(「楽園」宮部みゆき) | トップページ | R-40、いやもしかしたらR-50かも?(「マグレと都市伝説」鯨統一郎) »

2008年2月26日 (火)

問題作である事は間違いない(「この闇と光」服部まゆみ)

年間に100冊以上の本を読む私ですが、どうにも苦手な設定があります。それは中世ヨーロッパを舞台にした設定と、余りにも舞台が国際的ででか過ぎる設定です。両方に共通するのは世界観が自分の想像のレベルを越えてしまって、登場人物に感情移入し難いからだと思います。故にこの二つの設定ぽい小説は、あらすじや数ページをパラパラ読んだだけで10割に近い確立で読むのを放棄してしまいます。2000年の「このミステリーがすごい!」で12位にランクインして居たにも関わらず、設定が中世ぽかったので手を出さなかった服部まゆみさんの「この闇と光」を、今更ながらですが借りて読みました。想像通り舞台設定はヨーロッパ中世。失脚した国王と盲目の娘レイアは、山の中の別荘に幽閉されています。盲目のレイア姫が会う人は父である国王と意地悪な侍女のダフネだけ。そして狭い部屋と偶に散歩に出られる中庭だけが彼女の世界です。目が見えないので国王が読んでくれる物語や、レコードから流れる音楽だけが彼女の楽しみであり、見えないからこそ想像で広がる甘美な世界が彼女の唯一の世界であります。ここまでが前半です。正直辛かった。やはり中世の設定は苦手だなーと実感しながら読んでいたら、中盤に世界が反転します。中世ヨーロッパから一気に現代劇に。取り合えずここで声が出てしまいます。この本の最大の仕掛けが物語りの中盤で用意されています。あまり乗る気でなかったので、全く前情報が無い状態で読んだのが良かったと思うのですが、反則と言ってイイほどの大ドンデン返しが用意されています。しかも物語りの真中でです!私にとっては初体験の事でした。その後にも二つ程中くらいのドンデン返しが用意されています。こちらも確かに驚きがあります。所謂叙述トリックを本当に上手く駆使した問題作でした。古典ミステリーを沢山読んでいる人達からは、あの本のパクリだとかいう揶揄も出ているそうですが、古典を読んでいない私には充分驚きがありました。タイトルの意味が後半で段々明確になってきて、トリックだけではなく深いテーマが書き込んである事に気付きますが、個人的には物語りの深みは余り感じられなかったです。故にトリックを楽しむ作品な気がします。衝撃度で言えば乾くるみさんの「イニシエーション・ラブ」と同レベルの驚き度でした。設定だけで読まなかった事を反省した一冊でした。それでも今後も中世ヨーロッパは読まないと思います。

|

« 知っている事と、知っている事を表現できる事は別の事(「楽園」宮部みゆき) | トップページ | R-40、いやもしかしたらR-50かも?(「マグレと都市伝説」鯨統一郎) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 問題作である事は間違いない(「この闇と光」服部まゆみ):

« 知っている事と、知っている事を表現できる事は別の事(「楽園」宮部みゆき) | トップページ | R-40、いやもしかしたらR-50かも?(「マグレと都市伝説」鯨統一郎) »