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2008年1月17日 (木)

時は流れ去るものではなく、積み重ねるもの

本が売れなくなって(つまり読まれなくなって)久しいのですが、意外にも新書の数は年々増えているそうです。出版社も何でもいいから一発当てようと、質よりも量で当りの確立を増やそうと必死なんでしょう。その中でもミステリーは物凄い量の本が出版されています。これだけの本が出ると、謎もトリックも出尽くして、後はその作家の持つ色合いや作風で違いを出すしか無い状態です。普段なら滅多に手を出さない作風の本を読みました。光原百合さんの「最後の願い」という本です。2006年度「このミステリーがすごい」で10位にランクインした作品です。前作「十八の夏」を読んだ時も感じたんですが、ミステリーとはいえ本当に爽やかな風を感じる読了感でした。劇団を創設する話なんですが、連作短編になっていて、一話終わるとメンバーが一人増えていくという感じで話が進んでいきます。その一話一話に日常の中にひっそりと潜むミステリーが用意されていて、不思議な力(人の嘘を見抜いたり、心を読んだりします)で謎を解き明かしていきます。ビックリするような事件や出来事が起こるわけではないので、解決もそれ程衝撃的な物ではないんですが、謎が解明された時に感じる人間の優しさや切なさがジ~ンと胸に広がります。これこそ光原さんの持ち味です。作者人身も物凄く慈しみながら書き上げた作品というのが読んでいてシミジミ伝わって来ます。心が洗われた読書でした。最後に文中の名言を。「時は流れ去るものではなく、積み重なるもの」良い言葉ですね。

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