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2008年1月11日 (金)

作家としての意地と執念を感じた作品

新年になって既に10日が過ぎました。一年の中ではたかが10日間なんですが、音楽と本で既に濃厚な10日間を過す事が出来ています。音楽に関しては先日ブログでも紹介した三宅純氏の最新作のお蔭で、本に関しては故野沢尚氏の遺作のお蔭です。昨日紹介した未完の短編集に続いて読んだのが「烈火の月」という一冊でした。何も知らずに手に取ったのですが、この本は北野武の監督初作品である「その男、凶暴につき」の原作だったんです。その原作が何故今頃文庫化?と普通思いますよね?それには深い訳があります。元々この作品は野沢氏が敬愛する深作欣二監督の映画として書かれた脚本だったのですが、紆余曲折あり監督の映画化はポシャリ、主演だけが決まっていた北野武が初監督をするという揉めに揉めた映画の原作でした。その際に原作の原型が残らない程北野色に塗り替えられ映画が完成しました。その試写を観た野沢氏は、映画の出来栄えの素晴らしさに嫉妬し、脚本家としてのプライドを傷付けられました。何時かこのリベンジをと考えて15年程の期間を置いての加筆しての小説化が実現しました。「その男、凶暴につき」は既に観てましたが、野沢氏の原作とは全く知りませんでした。本人もあまり触れて欲しくなかったのかもしれません。そして脚本家としての意地と執念が詰まったこの作品ですが、作者の鬼気迫る大傑作だと感じました。物語の流れに新しさなどは全くありませんが、登場人物の描き方や本当の正義とは何かに対する想いが尋常じゃ無い程伝わってきます。読んでいて息が詰まるほどでした。野沢氏はこの本を書き終え発売した5ヵ月後に自ら命を絶ちました。本当の意味での遺作と言う感じがしてなりません。この作品のリベンジをする事で、総てのパワーを使い切ってしまったんだと感じます。今回遺作二作品を続けて読んで、心から残念だという気持が再び沸沸と湧き上がってきました。これだけ才能のある作者の作品が二度と読めないとは・・・・。人は無くしてから気付くとよく言いますが、正にその通りの作家さんです。噛み締める様に読んだ一冊でした。合掌。

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実際にペットの肖像画を描いているイラストレーターが、4つの画材(鉛筆、色鉛筆、水彩絵具、オイルパステル) を使って動物の19通りの描き方を解説しています。一枚のイラストが描きあがるまでを収録したノーカットDVD付きです。 ... [続きを読む]

受信: 2008年1月11日 (金) 18時15分

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