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2008年1月23日 (水)

密室」とアリバイはトリック界の飛車と角

歌野晶午さんの「密室殺人ゲーム王手飛車取り」を読みました。タイトルからてっきり将棋をベースにしたミステリーと思い込んでいたので手を出さなかった本です。私の子供の頃周りで一時期将棋がブームになりました。頭のよくない私は何十手も先を読む事が出来ず才能なさを痛感しました。それ以来将棋を毛嫌いしていたので将棋関係のミステリーは読みませんでした。しかしこの本はタイトルだけで将棋とは全く関係ないと知り早速読んでみました。ここ数年は反則ギリギリのトリッキーな作品を書く作者ですが、今回もやってくれています。物語の設定はネットのチャットです。偶然にもそこに集まった五人が登場人物です。ネット上ですからお互いの名前・性別・職業など一切わかりません。しかしこの五人は全員殺人者です。それも只自分達の推理ゲームを楽しむ為だけに実際に殺人を犯します。読む人が読めば何て不謹慎!とお怒りの声が聞こえてきそうです。誰が何故という部分は既に初めから分かっているので、総てがどのようにというトリックあかしに謎は凝縮されます。その点だけ読めば只の推理合戦なんですが、それが実際の殺人となる点がブラックです。しかも何の恨みも無い人をゲームのために殺します。作者も「何時かこの様な事件が起きるのではないかと思い書きました」という様な事を言ってますが、私も読んでいて同感でした。ネット・殺人がゲーム・そしてそれを行なう犯人が抱える現実の悩み、何か今の日本の現状その通りでは無いでしょうか?フザケタ話を書いているようで、何処か現実風刺の味付けが歌野氏の持ち味だと思います。もしかしたら続編ある?という様な終わり方はどうかと思いますが、続きが出たら読みたいです。今後の現実世界でも理由のある殺人は少なくなり、理由無き殺人が増えていくんでしょうね。怖い怖い・・・。

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受信: 2008年1月23日 (水) 19時10分

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