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2008年1月10日 (木)

死ぬ事は、人の心に生き続ける事

この正月休みに野沢尚氏の作品を二作読みました。野沢氏は2004年に自ら首を吊り44歳という短い人生を自ら幕をひきました。野沢氏の作品を読み続けていただけに本当にショックを受けました。もう野沢氏の作品を読む事は無いと思っていたら、亡くなった後に未完の作品が発表になりました。タイトルは「ひたひたと」と言います。元々は5編の短・中編集になる予定だったみたいなのですが、完全に書き終えた二作品を収録したのがこの本です。ネット上で知り合いになった5人がそれぞれの秘密を打ち明ける形で一遍づつ話が進んでいく形式になっています。故に2編で話は終わってしまっています。今までの野沢氏の作品集とは違い、ホラーミステリー色も強く、人間のドロドロした感じが物凄く前面に出ています。この変化は何でしょう?自殺と言う現実がある以上、死を覚悟した人間の持つ鬼気迫る人間の内臓感覚が描かれて居る気がします。人には誰しも一つ位はうち明けられない秘密があります。それを告白する形で他人と秘密を共有する事、その事で聞いた方の方が重い責任を背負う形になる。何て重たい話でしょう。現実の世界では野沢氏自身が自らの秘密を誰にも打ち明ける事無く亡くなりました。身近な人に重荷を背負わせる事を嫌ったのかもしれません。後書きで北方謙三氏が「生きる事は、死ぬ事だ。そして死ぬ事は、人々の心の中で生き続けるということだ」と書いています。思わず頷いてしまいました。野沢氏が想ったのはこの別の意味の(永遠)なのかもしれません。明日はもう一冊続けて読んだ野沢氏の作品について書きます。

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