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2007年10月18日 (木)

野球というよりベースボール

アメリカが発祥のスポーツであるベースボールは、日本語では野球と言います。一見同じ物のように感じますが、内容は微妙に違います(昨今はかなり近くなってきていますが)。日本の野球はバントやスクイズやエンドランなどを多用する作戦的なプレイスタイルに対して、アメリカのベースボールは兎に角パワーとパワーの対決で、投げる・打つ・走るというシンプルで豪快さが持ち味です。どちらもそれぞれの良さがあり甲乙つけがたいです。ミステリー小説の世界ではあまり野球がテーマの本は読んだことがありませんが、今回果敢にもその分野に挑戦した新人の作品を読みました。第3回「このミステリーが凄い」大賞を受賞した水原秀策(みずはら・しゅうさく)さんの「サウスポー・キラー」とう本です。タイトルからして野球、いやこの本はベースボールの臭いが感じられます。あらぬ八百長疑惑を欠けられたクールな若手ピッチャーが、自ら探偵役となり謎と自分の尊厳を取り戻すと言うハードボイルドタッチのミステリーです。謎解き要素はそれ程深くは無いし、社会派でもない。では持ち味はというと軽快さにある気がします。日本人の持つ独特の湿気感はなく、乾いた風のカラッとした文体です。この辺りからも野球というよりベースボールという感じをヒシヒシ感じます。後半の自分の容疑が晴れて体がボロボロなのにも関わらず、マウンドに立ち投げる姿は、正にハードボイルドであり、アメリカ人が好みそうなラストです。個人的には好きな作家になりそうです。ディック・フランシスの作風に似ているという前評判でしたが、それ程は感じられませんでした。この作品がデビュー作なので今後が楽しみな作家さんです。

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