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2007年9月 4日 (火)

温泉玉子

今やハードボイルドという言葉は一般的に通用する言葉になっています。しかし直訳すると(固茹で)という意味ですから、何も知らない人には何の意味を指すのか良く分らないのでしょうが、主人公の頑固なまでの生き方や性格を表す言葉としては最適な気がします。小説や映画の主人公は時代背景を顕著に影響を受けます。故に純然たるハードボイルド小説が生まれた時代は、主人公はその名の通り(固茹で)だったんですが、昨今の主人公はそうではないパターンも多くあります。酒も女も駄目、加えて喧嘩もカラッキシ駄目なんて昔じゃ考えられなかったんですがね。まー逆にいえば今、昔のような主人公像を描くとリアル感が無くなるのかもしれません。昨日読んだ米沢穂信(よねざわ・ほのぶ)さんの「犬はどこだ」も、探偵小説でありながら(固茹で)ではありませんでした。この本は2006年の「このミステリーが凄い」で8位を受賞していたので、前々から気にはなっていたですが、作者の得意とする作風が青春ライトノベル系だったので手を出していなかった一冊です。この度知り合いから借りる事が出来たので早速読んでみました。主人公は半分ニートの様な状態から抜け出す為に探偵社を始めます。それも犬探し専門の。しかしいきなり舞い込んできた依頼は、二点とも犬探しではなく仕方なく受けるとその二つの依頼が徐々にリンクしていくといった感じの内容です。最後に用意されたドンデン返しといい、主人公の周りの魅力的なサブキャラクター達といい結構面白く読めました。しかしこれが(固茹で玉子)ではなく(温泉玉子)くらいの緩さです。その緩さ加減を楽しむ小説だと思います。それでも主人公の芯の通り加減はやはり(ハードボイルド小説)の枝分かれと言ってもイイのではないでしょうか?何作かまとめて借りたので順じ読んでいこうと思います。現代の様々な世相や状況を反映すると、こういった感じの主人公は適切なのかもしれませが、「ボギーあんたの時代は良かったー」と言うオジサン世代の叫びも同時に聞こえる気がしますが・・・。

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