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2007年9月 3日 (月)

あな恐ろしや人の業

何気ない日常生活を送っている過程で、自分では何の悪意も無くした行為や発言が、物凄く第三者を傷付けて恨みをかっている事がある。小説の世界では格好のネタであるし、現実でもそれがキッカケで殺人事件に発展することもあります。人の憎悪というのは本当に怖いものです。昨日読了した貫井徳朗さんの「追憶のかけら」は、そんな気付かない所で人の恨みをかった人を巡るミステリーでした。主人公は最近妻を交通事故で亡くした冴えない国文学者。彼の元に自殺した謎の作家の手記が届けられます。その手記にはフィクションともノンフィクションとも呼べる作家の自殺に至るまでの実話が書かれています。親切心で行った人探しが裏目に出て、見知らぬ人間の恨みを買い、周りの人々が次々に不幸に陥っていきます。それが総て自分の軽率な行動の所為だと分った時、自殺する決心をした、という手記です。本物だったら大発見となり、自分の地位も大躍進となるので喜んで論文にして学会に発表しました。しかし発表後、手記は捏造された贋作と分ります。手記の作家と同じく、主人公にも同じ様に何かの恨みから彼を陥れようとする悪意が存在するのが分ります。果たして犯人の意図は・・・。といった感じのストーリーですが、物語の半分は作家の手記(勿論旧仮名遣いで書かれています)で埋められています。だから二つの話を同時に読んでいく感じです。最初は旧仮名遣いに戸惑い読みにくかったんですが、読み出したら本筋より手記の方がワクワクさせられました。全体でも終盤までかなり面白く読めました。最近は売れっ子になったせいか貫井さんの本は古本屋では中々見つけられません。確かに物凄く展開は上手いなーと感じます。只デビュー作「慟哭」が意表をつくトリックで世間的にもかなりの好評価を得たので、未だその呪縛から抜けきれていない気がします。意表を付く必要などないので、もう少しジックリ人間模様を描いて欲しいものです。でもこの本は何となく貫井氏復活の足がかりになる作品な気がします。

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