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2007年8月 1日 (水)

被害者と加害者が交錯する

通常読む本を古本屋で物色する私です。古本屋の利点は読みたい本や好きな作家の本が安く買えるだけでなく、全くノーチエックの作家と出会える点です。新刊を売っている本屋でも出会えるのでは?と訝しむ人も沢山居ると思いますが、内容も評判も作家も知らない本は読んでみないと当りか外れか分りません。そう考えるととても新刊で買う勇気はありません。しかし古本なら(特に100円コーナーなら)外れてもしれています。だから冒険するには古本屋が一番です。今年に入って大崎善生・朱川湊人という二大ホームランに出会ったのも古本屋のお蔭です。さて前説を長く書きましたが私にとっては初読みの作家さんの本をまた古本屋で購入し読みました。作家は藤田宜永(ふじた・よしなが)さんといいます。藤田氏は作家の小池真理子さんの夫で、「愛の領分」で第125回の直木賞を受賞してる世間的には既に有名な作家です。恋愛物を得意としているイメージがあるので、今まで避けていた作家の一人でしたが、今回「キッドナップ」(幼児誘拐)という作品を初めて読みました。キッカケは帯びの言葉です。「会いに行こう、かって僕を誘拐した女に!」というコピーに一発で惹き付けられました。内容はコピーの通りで、主人公は産まれて直ぐ誘拐されたという過去がある17歳の少年。実の親と反りが会わず、大暴れの末家出をすします。その時にもし誘拐されたままだったり自分の人生はどう変っていただろうと興味を持ち、誘拐した犯人の女性に会いに行くという設定です。何とか探し当て何も語らずに彼女の経営する食堂で住み込みのバイトとして働き始めます。そこで沸き起こる恋人とも親子とも友達とも呼べない奇妙な感情を藤田氏ならではの筆力でじっくり書き上げていきます。流石直木賞作家と思える上手さです。一瞬ミステリー小説の様なテーマなんですが、読んでみると純文学ぽい肌触りです。結果大々的な事件や結末はないのですが、過去を隠したままの住み込み生活はやたらドキドキしました。この作品に限らず被害者と加害者が交錯する話は、私にはストライクみたいで、今まで読んだ似たようなシュチュエーションの本は総て興味深く読んだ気がします。何でもこの作品は松雪泰子さん主演で既に映画化されているそうです(全く知りませんでした)。タイトルは「子宮の記憶 ここにあなたがいる」と代わっています。ん~原作がこのタイトルなら絶対手には取らなかった気がします。やはり「キッドナップ」の方が端的でセンスを感じるのは私だけでしょうか?

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