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2007年8月21日 (火)

強いの最上級は強がり

大好きなアニメ「ルパン三世」のテーマ曲の歌詞に「男には自分の世界がある」という一節が出てきます。その昔歌詞の通り男が男であれた時代があり、その世界観は女性には理解できない世界であった時代がありました。その代表的なモノがハードボイルド小説という世界でした。男性にしか理解できない、書けない世界でした。しかしその壁を見事に破った女性作家が居ます。その代表格が桐野夏生さんと柴田よしきさんの二人です。二人共女性ながらデビュー作がガチガチのハードボイルドという経歴を持ちます(主人公は女性ですが)。違いをあげるとしたら、桐野さんの方が未だ女性視点な気がします。さて本日の主役柴田さんはどうでしょう?今回恐らく彼女の代表作になるであろう「聖なる黒夜」を読み終えて、彼女の人間を描く洞察力に改めて感服させられました。主人公は今までミスを犯したことの無い刑事、しかし彼は過去に一度だけミスを犯していた事に気付きます。その誤認逮捕により一人の青年の人生を狂わせます。自分の管轄で起こった暴力団の若頭殺人事件の容疑者として青年と再会します。その事で今度は刑事の人生の歯車が狂いだします。犯人は誰だ?というミステリーのドキドキ感を維持しながらも、刑事と青年の憎悪と愛情の入り混じった気持の描写(一部には理解不可能かもしれませんね)を丁寧に描き出していきます。そこで明らかにされていく驚愕の事実の数々。もう読み終わるまで本を閉じる事が出来ないくらい堪能しました。ストーリーの面白さだけでも名作と呼べるんですが、兎に角人間描写が凄い!柴田氏は本当に女性なのか?と疑うほど、男性の気持が分っているかの様な書き方です。厳密に言えば男性とか女性と言う事ではなく人間を描き出しているでしょうね。昔ほど男性と女性の境が曖昧になってきているのも関係しているかもしれません。昨日も書きましたが、登場する人物達は皆少数派に属するタイプの人達です。皆孤独を抱えながら生きています。そんな彼らが痛ましいほどお互いを傷つけ合うかの様なストーリー展開。読んでいて胸が痛くなります。女性が強くなったと言われる時代です。しかし厳密には元々女性の方が強かったんです。男は強がっていただけです。ハードボイルドとは男の強さではなく、強がりを描いている小説だと、改めて気付かされました。最後に主人公が青年に「一生償いにかけさせてくれるか?」と問い掛ける言葉は、恋愛の告白にも刑事としての責任としての言葉にも聞こえます。その言葉にこの小説の総てが詰まっている気がします。RIKOシリーズを読んでいない方でも必読の一冊です。

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