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2007年7月17日 (火)

ありそうでなさそう、なさそうでありそうな話

世界の歴史を変えた第二次世界大戦からもうかなりの時間が流れました。生きている人達でリアルに経験した人も僅かになり、殆どの人が歴史の教科書で大まかなアウトラインだけを知っている状態の昨今です。それでも敗戦国である我が国には未だ解決していない戦争問題は山積みで残っています(沖縄などの基地問題が顕著な問題です)。そんな戦争の影を引きずった孤島を舞台にした本を読みました。大沢在昌氏の「パンドラアイランド」(第17回柴田錬三郎賞受賞)と言います。物語の舞台は東京から700K離れた青国島(小笠原諸島より更に遠く小さな島)です。この島は戦後アメリカの領土となり沖縄と同じく基地が置かれていた場所です。現在は日本に完全返還されて基地も存在はしません。その静かな小さな孤島に一人の保安員がやってくる所から物語りは始まります。かれは様々な軋轢から警察を辞め、ノンビリこの島で暮らそうと考えてワザワザ志願して来たのに、厄介ごとを抱える運命はどうしても変えられないようで彼の着任後次々と事件が起こります。その元となっているのが、島に大麻の栽培場所があり、今でも隠されているという伝説です。何でも占領下のこの土地ではアメリカ軍により公認で栽培されていたそうです。栽培こそされていないものの、それを売却したヒト財産を巡って悪人たちがくんずほぐれつ暗躍します。果たして結末は?といった感じです。何時もの大沢氏のハードボイルド路線とは少し毛色が違い、ミステリーとしての味付けも結構されています。純然たるハードボイルド好きには物足りないかもしれませんが、ハードボイルドの枠を越えて万人にアピールできる話であると思います。勿論フィクションなんですが、設定はありそうでなさそうな気がしてくるから面白い。戦争が落していった影はまだまだ到る所に残っているんだろうなーと実感しました。結構分厚い大長編でしたが、サクサク読めました。

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