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2007年6月28日 (木)

原点に触れました

今年一番の私の出会いは大崎善生(おおさき・よしお)さんという作家です。ブログでは既に書きましたが、「孤独か、それに等しいもの」に始まり「パイロットフィッシュ」「アジアンタムブルー」「九月の四分の一」と立て続けに読破していきました。どの作品も私には物凄く面白い作品で、すっかり大崎ブルーにはまり込みました。しかし大崎氏のデビュー作は前職である将棋雑誌の編集者の時代に出会った村山聖という怪童の生涯を書き綴った「聖の青春」というノンフィクション作でした。今回遡って要約読む事が出来ました。大崎氏のデビュー作でもあり、私が大崎氏のノンフィクションを読むのは初めてなので、かなり気合を入れて読み始めました。正直将棋もルールを知っている位で左程興味も無いので、最後まで楽しく読めるか不安もありましたが、流石大崎氏!相変わらずの流れるような文章でスイスイ読ませてくれました。主人公は29歳という短い生涯を駆け抜けた村山聖という棋士です。彼は子供の頃にネフローゼという病気にかかり、大人まで生きられないと宣告されます。何時死ぬか分らない状況下で将棋に出会い、生きている内に名人になる事を夢見て人生の総てを将棋にかけます。薬の副作用で丸々膨らんだ顔から怪童丸と呼ばれ将棋界の人気者でした。私も彼が将棋を打つ姿をTVで観た記憶がありますが、こんなバックグラウンドがあるなんて想像にもしませんでした。将棋をしては倒れ、病院で昏睡し、這いずるように試合会場まで出かけ将棋を打つ姿には鬼気迫るものを感じます。そこには何時までも生きられないという現実と将棋に強くなるという二つしか存在しません。将棋をベースにしているのですが、そんな事は二の次として、私達が普段忘れている(生きる)という事の素晴らしさを物凄く感じさせてくれます。この原作は舞台や漫画にもなっています。聖の残した想いは様々な形で未来に受け継げられていく事でしょう。いやー大崎氏はやはり素晴らしい。原点に触れて再認識しました。明日も大崎氏のノンフィクション作品に付いて書きます。

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