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2007年4月14日 (土)

現実と虚構の狭間で

小説と言うモノをどう楽しむか?という点を考えると大まかに二通りに分けられる気がします。一つは実際にある事件や事柄や歴史などをベースにして物語を創り上げ、読み手の側の知らなかった知識を教えながらストーリーを楽しむ。もう一つは全く架空の設定や架空の既成事実を作り上げてあり得もしない世界観を楽しませる事では無いかと思います。個人的にはどちらかというと一つ目の設定がしっくりきます。やはり実際の生活に根を降ろした設定の方が本の世界に入り込めます。身近な社会問題をテーマにした作品はそれこそ山のように書かれていて、これぞ!という作品に当るのは中々難しい競争の激しいテーマの分野です。今回読んだ荻原浩氏の「コールドゲーム」のテーマは正に現在の日本が抱える問題(イジメ)をベースにした青春ミステリーでした。イジメをベースにしているのですからリアル感あるテーマなんですが、読んでいてどうにも現実との距離感を感じてしまう作品でした。イジメられた側が恨みを持ちつづけイジメた側の生徒に対して一人一人復讐していきます。まーこの辺の流れは作品としてはベタなよくある進行です。調べていくと意外な犯人が!というオチなんですが、これもよくある展開。個人的な評価としては買ってまで読む本では無い気がします。イジメという現実のテーマを扱いながら、姿の見えない復讐鬼との対決を見せる虚構劇を混ぜ合わせてあるんですが、結果的にはどっちつかずの感じが拭えません。イジメというテーマを軽く扱うのは危険な気がします。荻原氏の持ち味としてホロリとさせるシーンも今回は全くありませんでした。どうせイジメをテーマにするなら、作品の最後に数行だけ書かれた事件が発覚してからのマスコミのバッシングの部分を広げて書いたら面白い気がしました。過去に酷いイジメをした側は復讐を受けても仕方が無いという報道の仕方には、賛否両論あるだろうし社会派の物語としてかなりの展開が想像できますから。おっとそこまで言うなら自分で書け!と叱られても書けません。あしからず。

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