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2007年3月25日 (日)

郷愁を纏ったホラー小説

誰でも子供の頃には様々な空想をしたと思います。ある筈も無い異空間を想像しては、自分だけの世界を作り上げた記憶があります。また今よりも空き地や林が近くに点在していた時代だったので、基地を造ったり草深い道無き道を分け進んでは見た事の無い動植物や物を発見しては歓喜の声をあげていた自分を物凄く思い出します。一旦思い出すと記憶の波が津波のように蘇ってきます。決して忘れたわけではなく大切に仕舞い込んであっただけである事を実感しました。私にそんな記憶を蘇らせた一冊の本を読みました。第12回日本ホラー小説大賞受賞作品である「夜市」という本です。審査員(荒俣宏・高橋克彦・林真理子)全員が文句無しの大賞という絶賛の嵐という非常に珍しい作品です。通常誰か一人くらいは異論を唱えたりするものなんですが、それ程この作品の完成度が高いという事なんでしょう。受賞作「夜市」と書きおろし作品風の古道」を加えて一冊の本として発売されました。どちらの話も冒頭私が書いたように、自分の子供の頃空想した様な日常に存在する異空の裂け目を不可思議な話として書き上げています。怖いという感じではなく不思議と言った方がシックリくる作品たちです。とても新人とは思えない熟練した文章力は将来性を物凄く感じます。加えて既に作者独自の作風が出来上がっており物真似では全く無い点にも非常に驚かされます。個人的には受賞作より書き下ろしの「風の古道」に物凄く感動を覚えました。本当に凄い新人です。それにしてもこのホラー小説大賞は凄いですね。一年おき位に面白い新人を登場させます。他の新人賞に比べるとレベルが高い気がします。最後になりました作者の名前は恒川光太郎といいます。憶えておいて損は無い名前です。そのうち直木賞確実にとるであろう才能です。星三つです!

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