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2007年2月19日 (月)

医学と同じく日進月歩

昨日も医学ミステリーを紹介しましたが、偶然手にした本も続けて医学ミステリーでした。小笠原慧(おがさわら・けい)氏の「手のひらの蝶」という作品です。小笠原氏は前作「DZ」で第二十回横溝正史正賞を受賞してデビューしました。この作品も既に読了済みですが、正直あまり記憶に無いです。豊富な医学知識をベースに書いたミステリーという印象ぐらいしか残っていません。昨日も書きましたが、専門知識を知る事が出来るという点では非常に興味深く読めるのですが、やはり大切なのはストーリーであり文章力です。その点が無いと最後まで読むのにかなり労力を必要とします。前作は正にそういった印象がありました。さてこの二作目の「手のひらの蝶」ですが、前作より想像以上に進化していました。ミステリーとしてのヒネリも良く効いているし、専門知識も只のひけらかしにならずに上手くストーリーに絡んでいます。最後まで飽きる事無く読み終える事が出来ました。小笠原氏は東京大学哲学科中退した後、京都大学医学部卒業という珍しい経歴の持ち主だそうです。完全理系の頭でなく、文系の脳も持ち合わせているから私が読んでいてしっくりくるのかもしれません。この作品で「少年犯罪は外的要因の影響が大きい」という話も、物語の軸の一つになっています。その取材をキッカケにして本名である岡田尊司(おかだ・たかし)名義で、ノンフィクション作品「脳内汚染」を出版してるそうです。何でもネットやゲームにより子供の脳が汚染されているという学説だそうです。何となく前から言われている事ですが、作者なりの解釈を一度読んでみたい気がします。今後も医学と同じく日進月歩していきそうな作家さんの予感です。

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