« 土下座して謝ります | トップページ | 時効寸前の出版 »

2007年1月14日 (日)

乱歩賞新たな一歩を飾る傑作

昭和30年から続いている権威ある賞に江戸川乱歩賞という賞があります。これまでに西村京太郎・森村誠一などの現在の大御所から、東野圭吾・真保裕一・桐野夏生・藤原伊織・野沢尚・福井晴敏などの才能ある新人を発掘してきた歴史ある賞です。一昨年第五十回の受賞が決まり一区切りついた感がありましたが、気を引き締めるかの様に物凄い受賞作が世に送り出されました。薬丸 岳(やくまる・がく)「天使のナイフ」という一冊です。正直全く前評判を聞いていない状態で読んだんですが、読み終えて溜め息が出ました。「これは本当に新人が書いた本なのか?」と自然に言葉が出てしまいました。テーマには今やベタになってしまった少年法が取り上げられています。話の前半は今までにあった様なありふれた展開で進んでいきます。物凄く地味な進み方に、やもすれば又同じ感じの内容か、と先がよめてしまった様な感じがするのですが、途中からドンドン話が予想外の方向に向かっていきます。逆にこの滋味な前半に数々の複線が引いてあり、知らず知らずの内に、その蜘蛛の糸にに読み手が絡まってしまっているんです。そして怒涛の後半戦。もうそうなるとノンストップです。読むのを止めるのが勿体無いくらいの勢いで読み進めます。そして犯人が!えーその人が犯人なの!この時点でも相当ビックリさせられるんですが、この小説の面白い所はその後なんです。もうひと捻りしてあるんです。被害者が加害者に、事件は何時までも風化しない、そして被害者や加害者以外の人の心境など、今までに無い視点も多く感心させられます。欲を言えばあまりにも総ての謎が綺麗に解決しすぎるのはどうかと思いますが、何せ小説を初めて書いた人の作品です。これ以上の出来を望むのは大人気ないというものです。でも此処まで上手い作品をデビュー作に持ってくると次作が難しい気がするのは私だけでしょうか?大きなお世話だと思いますが、相当のプレッシャーでしょうね。私を含めて読み手側はかなりの期待をしてしまいます。兎に角「天使のナイフ」はお薦めです。重たいテーマを一級のエンターティメント作品に仕上げてあります。

|

« 土下座して謝ります | トップページ | 時効寸前の出版 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 乱歩賞新たな一歩を飾る傑作:

» 昭和を代表するミステリー [西新宿笑顔社長のBlog]
14日。  最近、休日はサスペンスやミステリーに触れることが多い。 謎解きをストーリーより先にする。 また、犯人を見つけ出す。 変化や種を見つける。 そして、台詞を言い当てる。 なかなか面白いですよ。 ちなみに、昭和を代表する三... [続きを読む]

受信: 2007年1月14日 (日) 20時11分

» Cheapest viagra prices. [Cheapest viagra prices.]
Cheapest viagra prices. [続きを読む]

受信: 2007年3月26日 (月) 13時13分

« 土下座して謝ります | トップページ | 時効寸前の出版 »