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2006年12月 4日 (月)

真逆のベクトルを持つ作家

以前紹介した「ぼっけえ、きょうてえ」を書いた岩井志麻子さんがホラー小説大賞でデビューする前は少女向けの漫画の原作などを書いていた事は有名な話です。一見全く違う世界なので非常に驚きますが、人間は誰しも真逆のベクトルを持っており時に反対に向けて物凄い力を出す事もあります。昨日読んだ新人小説家も面白いベクトルの持ち主でした。第十一回ホラー大賞短編賞佳作「とくさ」という作品を読みました。福島サトルさんという方が書いた短編です。発刊された文庫には四編の短編が収められています。タイトル小説に加え「ナイアガラ」「掌」「犬ヲ埋メル」の三篇です。どの話も独特のリズム感と世界観があり、この世界に嵌れない人にはハッキリ言って苦痛な一冊かもしれません。しかし嵌れる方には堪らなく素敵な世界観だと思います。解説には「どこか内田百間(本当は門に月です)を思わせる」と書いてありますが、私にはよく分りませんでした。しかしこの文章スタイルが連綿と続いている昔ながらの書き方である事は間違いありません。話の舞台が昭和初期の何処かの田舎町に設定してあるので、時代性を持たせる為にワザとこういった文体にしたのでしょうか?そのお蔭で怪しげな福島ワールドが構築されています。個人的には今ひとつ世界観に嵌り込めませんでしたが、もう少し筆力が付きストーリーに一捻り出来るようになれば、もっと面白い作品が出来上がると思います。おっと出だしの話をした理由を忘れていました。作者である福島氏はこの作品でホラー大賞短編賞佳作を受賞した同年、「はいけい、たべちゃうぞ」という童話で第二十回ニッサン童話と絵本のグランプリ童話部門最優秀賞受賞をしています。ホラーと童話?ベクトルは真逆ですね。しかし考えてみれば昔話や民話は怪奇話や幻想話が多いです。意外に同じベクトルかもしれません。

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