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2006年11月27日 (月)

三河弁で言うと「ど怖ぇ~」

既に4年も前に読んだ本ですが昨日書いた映画があまりにも素晴らしかった為、積んである本の底の底の方から引っ張り出して再読した本を紹介します。岩井志麻子さんの「ぼっけえ、きょうてえ」(第六回角川ホラー小説大賞・第13回山本周五郎賞受賞)です。(ぼっけえ)とは物凄くという意味で、(きょうてえ)とは怖いという意味の岡山弁だそうです。つまり(物凄く怖い)というホラー文学にしては直球のタイトルが付いた短編集です。表題の他にも「密告箱」「あまぞわい」「依って件の如し」の計四作が収録されています。どの話も素晴らしく出来が良く、その上貧困や妬みなど架空の怪物や妖怪では無く人間の業の怖さをトツトツと書いてあります。それでもやはり表題作の出来が一番抜きん出ています。映画版との最大の違いは、映画版は英語ですが原書では最初から最後まで岡山弁で書かれている点です。ハッキリ言って意味が分りにくい部分もあるのですが、そこが又味に成っています。物語の中の主人公がお客さんに話しかける形式で進んでいくのですが、いつしか読者である私自身に語りかけているような錯覚に陥ります。話が進んでいくうちにゾワゾワと寒気が全身に広がります。そして極めつけのセリフ「うちの姉ちゃん、旦那さんに惚れたみたいじゃわ。どうされます?」。内容を読んでない方には何の事か分からないと思いますが、読んでいくうちに旦那が読み手自身にオーバーラップしていくので最後のセリフがまるで自分に投げ掛けられた気分になり、まさに「ぼっけえ、きょうてえ」気分になります。読み直して感じますが傑作です。ホラーとしては当然ですが、純文学としてもかなりのレベルの作品な気がします。山本周五郎賞受賞も頷けます。その後の作品「岡山女」で直木賞の候補にもなっています。最近は作品よりもキャラクターが先行していますが、物凄い作品を書きそうで楽しみです。

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