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2006年9月26日 (火)

これぞ日本のハードボイルド

ハメットやチャンドラーの創りあげたハードボイルドの波は日本にも上陸し、アメリカの生まれのハードボイルドを真似た日本のハードボイルド作品が何百冊と出ています。名作も何冊か生まれたのですが、やはり生まれがアメリカのスタイルだけあって少ししっくり来ない事もあります。要は表面だけ真似ても魂までは真似られないという事です。昨日読了した一冊の本は紛れも無く日本人の魂を纏った純和製ハードボイルドでした。日本のハードボイルド的な生き方は意外にも古いヤクザ(任侠)の世界に存在していました。今まで全く気づかなかったですが、よくよく考えれば言い得て妙です。それに気づいて作品にしたのが藤原伊織(ふじわら いおり)といいます。藤原氏は「テロリストのパラソル」で第41回江戸川乱歩賞を受賞し話題を呼び、加えて114回直木賞まで受賞した輝かしいデビューを飾りました。個人的には世間が騒ぐほどの良さは感じませんでしたが、その後の作品「ひまわりの祝祭」「雪が降る」「てのひらの闇」と発売する作品総てが面白くお気に入りの作家の一人でした。総てハードボイルドのスタイルをとったミステリーなんですが、筆力のある文章にグイグイ引きこまれます。しかしあくまでもスタイルはアメリカン生まれのハードボイルドです。それはそれで十分面白いのですが何か自分らしさを確立したいと思い書き上げた作品が「蚊トンボ白髭の冒険」です。2002年に発売になっていた本なんですが、ハッキリ言ってタイトルの付け方が悪いので手に取る事がありませんでした。それが先日100円で見つけたので何となく読んでみたらこれが面白い!今までの藤原作品とは少し毛色の違う作品でした。しかしそこには紛れも無い純和製ハードボイルドの香りがプンプンします。任侠・義理・人情・男気など古臭い世界が散りばめられているのですが、この生き様は日本人の根っこにある魂です。日本におけるハードボイルドの解釈はこれだったか!と目から鱗の作品でした。タイトルが違えばもう少し売れていたのでは?と思うくらいです。藤原氏は2005年に自ら食道癌である事を告白しています。しかし昨年「シリウスの道」という新作も発表しています。実際の生き方もかなりハードボイルドです。実力のある作家さんなので長生きしてイイ作品沢山残して欲しいものです。

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コメント

こんちわ、加藤です。
私も藤原伊織は「テロリストの~」がイマイチで、それ以来読まなかったのですが、この「蚊トンボ~」は面白そうですね。近々ゆっくり聞かせてください。

投稿: 加藤篁 | 2006年9月26日 (火) 12時52分

加藤さん。こちらの書き込みは初めてですね。ハードボイルド王の加藤さんにはチト物足りないかもしれませんが、兎に角今までの型通りのハードボイルドとは少し毛色が違うのは間違いないですよ!詳しくはバックアレーにてお話します。

投稿: マグ | 2006年9月26日 (火) 15時10分

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