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2006年8月15日 (火)

書かざるをえなかった続編

乃南アサさんの「風紋」の続編「晩鐘」を読み終えました。内容は正統な続編で前作から7年後の状況を7年後に出版しました。正しく小説の内容と同じ時間が過ぎてからの登場です。前作で一応のヒト段落を迎えたかのような終わり方をした加害者の家族と被害者の家族。無論ハッピーエンドではなくこの先の未来への苦悩を感じさせる終わり方でした。私だけでなく読んだ方は皆、この先の彼女達の人生が気になって仕方なかったと思います。その思いは作者である乃南さん自身も気になって仕方なかった様で、必然的な成り行きで続編を書き上げました。普通前作が評判良かったから無理やり続編を書くとガッカリさせられるパターンが殆どですが、この作品は相当のレベルの作品に仕上がっています。前作にも登場した被害者と加害者の家族に加えて、その子供達や親戚まで関わってきます。事件は法律上解決してからが様々な問題の始まりだということが切実に伝わってきます。作者自身も後書きで「事件と言うものは必ず、悲しみと憎しみの連鎖を生む。そして、一番弱いものが最も傷つくことに、改めて気づいた」と書いています。全編に溢れるどうしようもない悲しみとやるせなさは読んでいて胸が詰まります。ただ前作が本当のドキュメンタリー風なのに対して、今作品は少しあまりにも偶然な出来事が重なりすぎる点が気にはなります。その点さえ除けば彼女の代表作といってもイイ出来だと思います。ぜひ読んでもらいたい作品です。前作から続けて。しかし両作品とも1400ページ程ある大作です。読書体力のある人以外には大変かもしれませんね。

 

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