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2006年8月16日 (水)

良くも悪くも本職はTVの脚本家

二日かけて紹介した乃南アサさんの二冊の小説を紹介していたら、同じようなテーマで書かれた本を思い出しました。野沢尚さんの「深紅」という本です(吉川英治文学新人賞受賞作)。乃南さんの小説と同様加害者と被害者の話です。家族を殺され偶然修学旅行に行っていて一人助かった少女が主人公です。事件の後遺症でPTSDに悩まされながらも何とか日々の生活を送っていた所に、何と運命の悪戯か加害者の同じ歳の娘と出会います。勿論主人公の少女しかその事実を知らない状態で話は進んでいきます。何時しか芽生える復讐の心。二人の運命や如何に!といった感じの内容です。簡単なストーリー説明でも分ると思いますが、乃南氏の作品と流れは似ていますね。しかし決定的に違うのは、野沢氏の本は良くも悪くも映像化を意識した造りになっています。元々の職業が脚本家というのもあるのでしょうが、息詰まる前半と違い、後半はあまりにも予定調和に話が進み過ぎる点は如何にもTVや映画向きです。現に内山理名さんで映画化されています。様々な悩みや憎しみを抱えながら活きている主人公達の姿をこんなにも力強く描いているのに、野沢さん自身の人生の幕引きが自殺という形にしかならなかったのは残念です。やはり小説のように人間は強く生きられないのでしょうね。

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