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2006年7月27日 (木)

「理由」を書いた理由

昨日宮部みゆきさんの「理由」について書きました。その中の記述で(原作があまり好きでは無い)という事を書きました。世間的には直木賞も受賞して大ベストセラーになった本なので物凄く面白いと評価している人が沢山居ると思いますが昔からの宮部フアンはそう感じていない人が沢山居ると思います(勿論「理由」はそこら辺の作品よりかなり高水準のイイ作品だという認識はありますが)。そう思う理由は宮部氏の傑作「火車」という作品のせいです。この作品は1992年に書かれた作品で、カード破産を軸にした人探しミステリーです。初読みした時非常に驚いたのが主人公である女性が最後の一文で要約本当の姿を見せるという手法です。今までに全く読んだ事の無い手法で声をあげてしまうくらい感動した記憶があります。つまり最後まで主人公の女性は他の人の口から語られたり、刑事の捜査の状況でしか分りません。最後まで実態が本人の口から語られる事は無いのです。こう書くと似てますよね「理由」と。10年の月日が宮部さんの筆力も技法もレベルをあげ複雑さも登場人物も増えました。また時代背景が10年以上前はカード破産ですが、「理由」の時はバブル崩壊による競売&不法占拠。背景と手法の複雑さが違うだけで根底に流れているものは同じです。直木賞確実と言われた「火車」で直木賞がとれなかった事に宮部氏本人もフアンもかなりガッカリしました。「火車」という作品が如何に素晴らしいか再認識させる為に「理由」を書いたのでは?と個人的には思っています。どちらの作品も素晴らしいんですが、やはり先に読んだ「火車」の方に軍配があがります。作家にとって乗り越えなければ行けない作品というのがあります。宮部氏にとっては「火車」だったんでしょう。「理由」を書いて直木賞を取れた事で次のステップに移る事が出来たのでしょうね。いずれにしよ「火車」未読の方は必ず読んでください。大傑作です。

 

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