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2005年11月11日 (金)

歪んだ世界観

昨日乙一(おつ・いち)氏の「GOTH・ゴス」を読み終わりました。乙氏の著書を読むのはこれで四作目です(「暗黒童話」「ZOO」「石の目」です)。乙氏は集英社が応募した第一回ジャンプ小説大賞で「夏と花火と私の死体」で若くしてデビューした才気あふれる人物です。歪んだ世界観を書く作家は大好きなので古本屋で見つける度に購入はしています。しかし前に読んだ三作はそれほど私の琴線には触れませんでした。正直「少し変わっている」ぐらいの印象しかありませんでした。しかしこの「ゴス」は快作です。歪んだ世界観はレベルアップし更に切なさが胸いっぱいに広がる短編連作集です。連作を読み進めていく度に発覚する様々な過去や現実。スト-リーの展開も絶妙です。敢えてジャンル分けをするとしたら「ミステリー」の分野に分けられる作品です。現に主人公は必ず世間を騒がす猟奇殺人の犯人を見つけます(探偵より素早く嗅覚だけで)しかし警察に通報するわけでもなく犯人を懲らしめる分けでもない。ただ殺人という現場に居たいだけなのである。これだけ読むと何か異常者の話に感じますが(変わった人間であることは間違いありませんが)全編に流れる空気は物悲しく切ないのです。そこが乙一氏の凄いところだと思います。御多分にもれず「石の目」(「平面犬」と改題)が映画化されます。昨日も書きましたが優れた原作を映画化するとがっかりさせられる事が殆どです。特に歪んだ世界観は映像化が難しいとお思います。一応はビデオで見る予定ですがあまり期待はしていません。

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